相続税の目安(資産総額:〜10億円)
2013-01-21
久しぶりに相続の話をします。相続で問題になることと言えば、大きく「争続(どう分けるかで遺族が争う)」と「相続税」の問題に分けられます。今回は「相続税」の話。実際、皆さんに何かあった時、どのくらいの税金を国に納めなければいけないのでしょうか?そもそも自分が死んだ時になぜ国にお金をあげなければいけないの?と思うと思います。私もそう思います(笑)。これは大した論理もなく、単にお金を持っている人(富裕層)が富を独占しないように、そのお金を国を介して社会に再分配しようという意図のもと作られています(やはりむしろ倫理なき論理な気がしますがw)。
とにかくお金を取られると決まっているので、これを逆らおうと思ったら、相続税のない国(カナダなど)へ行って争続させるしかありません。それができない方は現法においてはこのくらい納税しないといけない、と把握しておきましょう。
※仮定:配偶者+子ども2人(カッコ内は配偶者がいない場合)
1億円:100万円(350万円)
2億円:950万円(2500万円)
3億円:2300万円(5800万円)
4億円:4050万円(9800万円)
5億円:5850万円(1億3800万円)
8億円:1億2150万円(2億7100万円)
10億円:1億8550万円(3億7100万円)
ポイントは以下の2つ。
左手の課税価格というのは、金融資産だけではありません。土地、家屋、自社株(企業オーナーであれば)、保険などもすべて含みます。金融資産以外はほとんど流動性のない資産ですが、税金を納めるのは現金でないといけません(条件により一部物納可)。
右手の納税額とカッコ内の納税額(配偶者がいない場合)を見るとわかりますが、配偶者がいなくなっただけで、配偶者控除(1億6000万円or資産の半分)が使えなくなるため、大幅に税額が上がります。富裕層は下の代にはお金を持って行かせないように、という政策ですね。
特に企業オーナーは自社株など含めると結構簡単に10億円を超えてきます。資産総額が10億円だとして配偶者がいても1億6000万円、配偶者がいない場合は3億7000万円国に納めなければいけないって・・・(汗)。
国境間のボーダーがなくなってきた近年、相続対策も国内だけではなくなってきましたね。海外進出支援ホームページというのも作ったので、ぜひご覧になってください。
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相続税、初の還付超過
2011-04-04
財務省が発表している2月の税収実績では3兆1998億円。相続税は752億円の還付超過(以前取り過ぎていた税金を納税者へ還付すること)となった。還付超過とはおかしなことかと思うかもしれないが、以前の記事で書いたように、武富士の武井さんの2000億円税還付があったので、しょうがないところだろう。ちなみに2月だけの統計なので、通年では今回の震災の影響も受けて、税金がどれほど集まるかは疑問なところだが、以下のとおりになっている。
たばこ税:676億円(+23.5%)
法人税:8751億円(+19.2%)
所得税:5816億円(+4.4%)
消費税:1兆1347億円(+2.1%)
日本国民からもらう税金と外国人からも税金があるとすれば、消費税として旅行者や一時滞在者から日本に税金をもらうのがいいというのはよくある話。しかし今回の震災&原発問題で外国人は20万人以上国に帰ってしまった。東京でさえ、六本木のグランドハイアット以外で外国人を見るのが珍しいと感じるようになってしまったくらい(笑)。
ではここで法人税を微妙に下げただけで、さらに下げているイギリスや元々下げた後の日本よりも法人税の低いその他諸国(香港、シンガポールなど)と比べて、日本が今それだけの魅力があるか?というと、正直NOだろう。ジャパンリスクとしてしか見られていないのではないかと思う。仮に株価が一時的に安くなったとして、バーゲンセールで買いたいという企業があったとしても、日本での事業拡大ではなく、世界戦略の中の一齣に過ぎないように思える。
消費税増税のタイミングも法人税下げのタイミングも逃した日本は、今後どうなるのだろう。同じ日本人として漠然とした希望は持ちたいが、具体的な期待を持てるような政治家も政策も客観的事実もない状態。
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孫への贈与、税優遇拡大(政府税調査会)
2010-10-24
お金を持っていれば持っている人ほど取られる相続・贈与問題。相続も贈与も高い税率がかかる日本は、お金が移動する度に高い税金を払えという、リベラルな私としては「共産主義」としか思えないのですが、毎年微妙に取り方を変えてきます。その度に税理士が中心となって、相続・事業承継対策を行って、その度に税理士や対策に関わる金融商品(特に生命保険)に高い手数料を払って、生命保険会社やそれを仲介する税理士、証券会社、銀行にまた高い手数料を払うことを強いられている納税者。しかも税制改正があるたびに今までの対策(生命保険など)が無駄になって、「これはお国が決めたことだからしょうがない。」と言い訳する。国も国だがその都度何かしらのビジネスチャンスと寄ってたかってくる業者もどうかと思う。いつの世もこんなことの繰り返しなのだろうか。さて今回変更されるかもしれないのは高齢者から孫へ贈与するケース。
といっても私からすればあまりメリットのある制度でもないのだが、現行「相続時精算課税制度」というものがある。これは2500万円までを非課税で子へ贈与できるようにしている制度(65歳以上の親から20歳以上の子への贈与の場合のみ)。しかし結局、贈与の時の贈与税が非課税になるだけで、親が亡くなった時にはしっかり相続税としてまとめて持っていかれる仕組みである(ただの税金の先送り)。これを使って唯一できる対策といえば、死去するタイミングというのは図れないが、贈与するタイミングというのは図ることができるため、贈与するタイミングに合わせて資産価値を減らすことで、相続時に支払う税金を少なくするということができる。しかしこれも一般の方にはあまり関係ない話で(というより資産の減らしようがない)、できるのは会社を経営しているオーナーくらい。要は自分の会社の価値を下げる(借金をして何か資産を買ったり、役員退職金を支払ったりする)ことで、自社株の価値を下げ、贈与の対象となる資産価値を下げることで、相続時に支払う税金の額も減らすということです。
しかも贈与できるのは65歳以上の親から子供に対して。通常相続対策を考える親というのは70歳を超えている人が多く、その子どもと言えば50歳を超えていたりもする。そうなるともう資産形成は済んでいることも多いため、生前贈与されてもまた近い将来自分が税金を納めなければいけない立場になってしまう。
そこで今回の税制改正で孫に世代を飛ばして贈与できるようにしよう、ということである。そうすれば孫の世代(これからお金が必要で、消費してくれる世代)へお金がまわり、たくさんお金を使って消費をし、景気を良くしてくれるだろう、ということである。景気が良くなれば税務署は法人税や所得税からお金をもらえるということである。
今回の税制改正が行われれば、もちろんいいことだと思う。ただし同時に相続の基礎控除(5000万円+500万円×法定相続人数)の引き下げや死亡保険金や死亡退職金にかかる相続税の非課税制度の廃止も検討するそう(これらは実質増税)。これらが実行されれば、今まで相続税対策として行って来た多くの裕福な人達の対策が一気に水の泡と化す。結局、取りっぱぐれがないのは税理士、証券会社、銀行、FP(ファイナンシャルプランナー)などの仲介業者と生命保険会社だけである。あとは税務署(お国)ですね(笑)。
相続税対策をしようとする方は、よくよくこれからの日本の流れと税制の流れ、世界の流れを考えて相続対策をしてください。
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