被災地復興政策
2011-03-21
政府が今までは避難民対応、状況把握、原発処置などで手一杯でしたが、地震から1週間ほどたった今、今回の東日本大震災の対策を検討しだしました。対策案としては「被災者への緊急対策」「復旧対策」「復興対策」とマイナスからゼロに、そして将来に向けてプラスに働くよう政府ができる対策を検討しています。
<被災者への緊急対策>
・確定申告や納税期間を延長
・住宅や家財の損失に所得控除
・救援物資に302億円の予備費活用
・被災者の治療費や入院費を免除
<復旧対策>
・復旧不能なら固定資産税を非課税
・被災企業に法人税還付
・公費によりがれき撤去、幹線道路、鉄道、港湾などの回復
・危機対応融資の発動
<復興対策>
・建て替え後に登録免許税など軽減
・特区などを活用した被災地への整備
・地域金融機関に公的資金注入
これを見て、ピンと来るかもしれませんが、ポイントは2つあり、
1)被災者が今まで通りの生活に戻れるかどうか?
2)破綻寸前の国がどこまで面倒を見れるか?
です。
1)まず後ほど地震保険のことについても書きますが、被災者に十分な保険はおりません。家屋を流され、物品をなくしてしまった人達は、今は仮に避難所でギリギリの生活をしていますが、そこから元の生活に戻ろうとすることになります。その際、あるものといえば銀行にある自分自身の金融資産。
政府が公的資金を地元銀行へ注入して破綻はしないようにしてくれているため、ペイオフである1000万円以上あったとしても問題にはならないでしょう。しかし問題は金融資産がない方。住宅ローン(30年など)をくんで家を立てていた方も多いでしょう。そしてあるはずだった収入が今後は入ってこない方も多いでしょう。
事業や家を立てるにも借入が必要です。政府が特別に「危機対応融資」というのを検討していますが、本来融資する側(銀行)もリスクを負うため、ちゃんとした事業計画を見て、収入の見通し、返済の見通しが立つものに融資をします。しかし今回の場合、大多数の借入をしたいという人が、そんな見込みも見通しも立たない方が多いのではないでしょうか。結果どうなるか私にはわかりませんしできることもないのですが、考えるだけで暗い気持ちになります。
そして2)の国。借金の額としては1000兆円あり、毎年の税収からその借金返済(国債満期)の金利分だけで24%、借金の元本返済を含めたら53%が毎年消えるのです。さらに毎年増える年金受給者に支払う年金総額も増え、その年金を受取る人達が最も厚い有権者となっているため、政治も制度も変えられません。結果、この10年で借金が倍になり、世界で最も破綻に近くなった日本国。そんな国がどこまで地方の金融機関の支えとなって、今回の災害対策のための資金を出せるのでしょうか?普通に考えたら出せないのです。しかし出せないとは言えないのです。
おそらく今回の地震のための債券(仮名「東日本大震災復興債」)を国内外で募集し、資金豊富なところから借りるのもいいでしょう。おそらく日本の私企業にも海外の格付けの高い国にも貸してくれる能力は十分にあるでしょう。しかし結局同じなのは、それは借金にすぎないので、3年満期の債券であれば、3年後にはきっちり借金を返済しなければいけませんし、金利もつけなければいけません。3年後にはおそらく世界も別の問題で手一杯になり、日本の今回の地震に対する関心も薄れていると思います。結局、この10年してきたこととなんら変わらないことを今後も続けていくのです。
今の状況が続けば税収に占める借金返済の%はさらに高くなり(税収はほとんど増えませんから)、結果借金返済ができないので破綻。我々がもらえるはずだった年金も大幅カットされます。これはそうなるかもしれない、ではなくいつなるか?という話なのです。
地震対策も必要ですが、それも同時に併行して個々人が行わなければいけません。
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