恥知らずのパープルヘイズ ~上遠野浩平
2011-10-28
(今回の本は漫画「ジョジョの奇妙な冒険」を好きな方にしか理解できませんので、そうでない方は読み飛ばしてください。)名作「ジョジョの奇妙な冒険」の中でもひときわ面白かった第5部『黄金の風』の続編がこの『恥知らずのパープルヘイズ』です。ただしこれは漫画ではありません。小説です。
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舞台は第5部でジョルノ・ジョバァーナがマフィアのボスであるディアブロを倒し、自分自身が組織のボスになってから半年後の話である。そこにはボスのジョルノ・ジョバァーナがいて、2番手としてポルナレフがいる(亀のままかどうかは書かれていない)。そして3番目に拳銃使いのミスタがいるというところから始まります。そして今回の主人公は第5部の途中で、ジョルノやブチャラティから逃げてしまったパンナコッタ・フーゴです。
JOJOシリーズは常に「意志」の強い主人公がいて、その周りに信用できる仲間がいる。そしてある目的のために敵と戦い、中には死んでいくものもいる、という少年漫画にしてはかなり濃い話です。しかしその強い意志を持つ主人公に憧れ、共感して育ってきたのが私たち世代です。
しかし今回の主人公パンナコッタ・フーゴは、決してそういった意志の強いタイプでもなく、どちらかというと人生の脱落者。そして脱落しなかったジョルノ達は、仲間は死んでいったけれど目的のボスを倒して自分たちがトップになります。
そしてこのフーゴはどことなく現在の若者が共感する所が多いんじゃないか、と思います。もちろんそんな若者ばかりではないし、成功している、意志がありしっかりした人生を歩んで結果を残している人たちもいますが、どこかで挫折感、諦め感を持った人生を歩んでいる人を多く見ます。しかしこの物語の中で、フーゴもまた成長し、最後には・・・(ネタバレのため、ここまでにします)。
中にはちゃんとジョルノ・ジョバァーナもミスタもトリッシュも出てきます。さらにフーゴの回想シーンで度々アバッキオもナランチャも出てくるので、当時高校生だった記憶が私自身蘇ってきてとても懐かしくもあり、面白いです。
JOJO好きな方はぜひ読んでみてください。セカンドストーリーってえてして面白くないのですが、これは普通に楽しめると思います。。
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