毎月分配型ファンドの蛸足分配ランキング(2011年4月〜2012年3月)
2012-05-07
よく毎月分配型は蛸足分配ばかりで、自分の投資した資産(元本)を取り崩しているだけだ、という話を耳にしますが(私も言っている)、実際どのくらい取り崩しているのでしょうか。2011年4月〜2012年3月の1年間で資産残高の多い毎月分配型ファンドがどのくらいの資産を取り崩しているのかを見てみましょう。(私が過去に記事として書いたファンドにはリンクを張ってありますので、よかったらご覧になってください。)
(ファンド名、総資産額、基準価額、1年の運用成績、1年間の分配率、元本取り崩し分)
グローバルソブリン(グロソブ):
17266億円 4970円 0.8% 7.8% -7.0%
短期豪ドル債オープン:
12533億円 7012円 2.6% 14.7% -12.1%
ハイグレード・オセアニア・ボンド・オープン(愛称:杏の実):
9212億円 7369円 6.6% 10.8% -4.2%
通貨バスケット選択型 グローバル・ハイイールド債券ファンド:
7652億円 6960円 -2.1% 18.3% -20.4%
新光 US-REIT オープン(愛称:ゼウス):
6932億円 4669円 5.1% 19.4% -14.3%
ラサール・グローバルREITファンド:
6202億円 3802円 2.1% 17.2% -15.1%
ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド:
6141億円 4646円 -6.0% 10.5% -16.4%
三菱UFJ 新興国債券ファンド 通貨選択シリーズ:
6092億円 9138円 1.3% 20.4% -19.1%
ブラジル・ボンド・オープン(毎月決算型):
6044億円 9262円 2.4% 13.5% -11.1%
ダイワ米国リート・ファンド(毎月分配型):
5689億円 6222円 5.4% 20.8% -15.4%
ダイワ・US-REIT・オープン:
5153億円 5281円 5.1% 20.6% -15.5%
フィデリティ・USリート・ファンド B(為替ヘッジなし):
5054億円 5492円 8.2% 19.2% -11.0%
財産3分法ファンド:
4897億円 5147円 1.5% 13.8% -12.3%
フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド:
4786億円 5035円 2.1% 14.6% -12.4%
ワールド・リート・オープン:
4421億円 4256円 0.9% 17.1% -16.2%
DIAM高格付インカム・オープン(愛称:ハッピークローバー):
4350億円 7720円 6.3% 6.9% -0.5%
エマージング・ボンド・ファンド:
3719億円 8233円 0.9% 18.5% -17.6%
ダイワ・グローバル債券ファンド:
3657億円 6555円 3.0% 7.9% -4.9%
米国ハイ・イールド債オープン(レアルコース):
3642億円 9222円 0.4% 21.7% -21.4%
SMBC・日興ニューワールド債券ファンド(ブラジルレアル):
3352億円 7791円 0.5% 17.6% -17.1%
LM・ブラジル国債ファンド:
3346億円 7766円 0.3% 14.7% -14.4%
高金利先進国債券オープン(愛称:月桂樹):
3250億円 7480円 8.1% 10.8% -2.7%
ダイワ・グローバルREIT・オープン(愛称:世界の街並み):
2955億円 3443円 -0.1% 14.3% -14.4%
日興アシュモア新興国財産3分法ファンド毎月分配型 (ブラジルレアルコース):
2817億円 6444円 -8.8% 21.4% -30.3%
ピクテ新興国インカム株式ファンド:
2682億円 4980円 -7.1% 13.3% -20.4%
アジア・オセアニア好配当成長株オープン:
2619億円 4718円 -3.9% 15.1% -19.0%
ダイワ日本国債ファンド(毎月分配型):
2531億円 10360円 2.7% 2.3% +0.4%
三井住友・豪ドル債ファンド:
2433億円 7745円 7.0% 14.3% -7.3%
米国ハイ・イールド債オープン(豪ドルコース):
2427億円 12101円 6.6% 20.9% -14.3%
UBSオーストラリア債券オープン:
2419億円 9174円 7.6% 10.1% -2.5%
ピムコ ハイインカム:
2386億円 6066円 4.6% 10.5% -5.9%
簡単にこの表の見方を書いておくと、まず左から順にファンド名、純資産額が載っています。純資産額の多い順にしてありますが、一番大きいファンドで1兆7000億円もの残高があり、少ないものでも2000億円を超えています。どちらにせよ大きいです(笑)。
次に基準価額があり、ファンド(投資信託)というのは、元々すべて10,000円スタートなのですが、無理な分配金の吐き出しと運用損で10,000円を上回っているのは2銘柄だけとなっています。
次に過去1年の運用成績です。マイナス運用というものもありますが、一桁プラスというのが多いのがわかります。その右手に1年間の分配率があります。これはファンドが投資家(皆さん)に毎月出している分配金の1年分をまとめたものです。そして純粋な利益から出しているのであれば、この2つを引いた数字(その右隣の元本取り崩し分)がプラスになっているはずなのですが、1つの銘柄を除いてすべてマイナスとなっています。ひどいファンドはこれが-20~30%となっていて、高い分配金だけをうたい資金を集めはしたものの、全然運用は大したことがなく、投資家が投資したお金をそのまま返しているという状態になっています。
弊社に相談をいただける方の多くがこの「分配金」の額だけを気にしている人が多いのが現場で、そんなことを気にするよりも、「1年間の運用成績」もしくは「基準価額」がプラスになっているかどうかを気にするべきだと思います。まずはそもそも毎月の分配金など本当に必要なのかどうか?を考えた方がいいでしょう。私が見ている限り、毎月の分配金が本当に必要な方は1割もいないと思います。
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