貧富の格差は教育格差から?
2014-02-09
今通っているボストン大のクラスで、「貧富の格差」という題材でディスカッションがありました。皆が多かれ少なかれ興味を持つテーマですし(笑)、人生で関わるテーマです。そこでいつも例に出されるのが、世界の富豪たちが世界の冨の大部分を保有しているということ。米国の富豪たちが米国の冨の大部分を保有しているということです(細かな%は忘れました)。ただその後に決まって出てくるのが「教育問題」です。教育格差から貧富の格差が生まれてくるのだと。たしかに教育格差はサラリーマンになってもらえる給料の格差になります。いい大学へ行けば大会社に就職しやすく、そこで中小企業よりもいい給料をもらう。そこまでは正しいと思います。しかしだからといって、前テーマの富豪たち(スティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグのような人たち)になれるかといったら、むしろ遠ざかっているように思えます。私が考える教育とは、社会の中の中間層をたくさん作るための教えだと思います。国が定めた競争と通知表の結果に伴い、冨が配分される。それが教育だと思います。大学や高校へ行ったことがある方は、成績がどのように決まるか思い出してください。教授からの評価?正しい答えを書いたらいい点がもらえたはずです。その教授やテストを作っている人たちは上記テーマの富豪か?いえ、それには程遠いでしょう。
ここで念のため断っておきたいのは、大企業に入ってそこそこいい給料を我慢しながらもらうことが悪い人生だとは言っていません。リスクが低いし、今まで受けた教育とその教育費を回収するのに一番間違いの少ない選択だと思います。しかし今回の論点の貧富の格差でいう、上位の人間になるには正しい方法だとは思えません。大企業に入ること、ポジション(タイトル)を与えられること、資格を持つことで、現状に甘んじる言い訳と口実を持っただけにすぎません。そういう社会にしようと国や教育機関、大企業が足並みを揃えているのですから、わかりきった話です(新興国を除く)。
私が知っている起業家たちは、受けた教育とはかけ離れたところから、新しいもの(サービス)を生み出す人たちです。そういったものは誰からも与えられません。自分の中から湧き出たものを、社会に形として生み出してきたのです。スティーブ・ジョブズ、マーク・ザッカーバーグ、イーロン・マスク、孫正義さん(なぜか日本人だけ「さん」を付けないといけない気がするというw)。いずれもwikipediaでどんな人生を歩んできたか見てもらいたいです。見て論点をずらさないでほしい。教育を受けたければ受ければいい。受けたくなければ受けないでいい。そこに自分の覚悟としたいことがあるのであれば。
最後にスティーブ・ジョブズが2005年にスタンフォード大の卒業式でしたスピーチをこちらにつけておきます。彼が自分のビジネスと関係なく、このように、しかも学生に向けて話すことなど珍しいと思います。そもそも自分の人生を人に伝えている時間があれば、何か新しいイノベーションを起こそうと考えた人ですから(自分の死期を悟ったジョブズは、晩年自分の伝記を書くようにと、初めて自分のことを語りはじめた)。何か(他人や会社、教育、資格など)のためではなく、今自分が本当にしたいと思うことをしようと思えるスピーチです。
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