マイナス金利とは?
2014-06-06
今回、ECB(欧州中央銀行)は中銀預金金利を0%から-0.1%へ引き下げた。世界で初めてのマイナス金利の実施である。マイナス金利とは?
金利がマイナスということなのだが(笑)、本来金利とは預金しておけば預金者がもらえるもの。それが預金しておくとむしろ0.1%余分に預金者が費用として支払わなければいけないという仕組みである。そしてそれには以下2つの目的があります。
1)景気刺激策
2)ユーロ高抑制
中央銀行へ預けるのは銀行なので、銀行が全部の資金を手元に置いておくことなど当然できない。そのため0.1%を支払ってでも中央銀行に預金をしておくのだが、ただ数字的にその残高を減らすために、銀行の中の資金(キャッシュ)を減らすようにする。つまり企業、個人などへ貸出をするのだ。今までは市場にリスクが有るのであれば、リスクを取らずただ手元に置いておこうという考えでいれば銀行としてマイナスには働かなかったが、今回は置いておくことすらリスクになるので、これからは頑張って貸し出そうということである。これが「景気刺激策」。
そしてもう一つの2)が、金利が低くなると、その国のその通貨(今回だとユーロ)で資金を置いておこうと思わなくなります。そのためユーロが売られる。ユーロ安になるということです。金利が低いので通貨としての魅力が低いと考えてもいいです。
そしてユーロ安になると、輸出産業にとってプラスに働く。ユーロが安い今のうちにブランド物のバッグを買っておこう、欧州へ旅行に行っておこう、というあれですね(笑)。そうすると欧州株が上がるということです。
逆を言うと、それだけ欧州の景気が厳しいということ。既にもう忘れられがちですが、2012年前後にあった欧州危機。ギリシャ、アイルランド、イタリアなどがデフォルト(破綻)の危機を迎えたあれです。EUR/JPYは100円を切りましたが、今は140円になっていました(=40%上昇)。それだけ短期的にユーロ高になっていたのですが(といっても対円の話ですが)、雇用統計など目の前の景気はそれほど良くなってはいない、ということです。
政策金利と通貨は切り離しては考えられないものなので、海外(オフショア)投資をされる方も、国内でファンド投資している人たちも、必ず把握しておくようにしましょう。
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